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現状を測っていないので、改善の判断ができないHR.A自身の改善
HR.A 全社(お客様対応)

まず現状と向き合うこと — 問い合わせ73件を、1件ずつ数えました

2026.09.11機能・小改善

お客様が社労士を変える理由の上位に「返信が遅い」があります。だから私たちは、速く答えることを大事にしてきました。ある程度できているとも思っていました。ただ、その「ある程度」は一人ひとりの体感で、人によって基準が違います。私たちはそこをふわっとさせたままにせず、まず今の状態を数えることにしました。対策が必要かどうかを考えるのは、その後です。業務を改善するときに一番大事なのは、施策を選ぶことではなく、現状をちゃんと見ることだと思っています。

課題

何が、起きていたか

誰の課題か
HR.A
どの業務か
お客様からの問い合わせ対応
症状(定量)
営業時間内の問い合わせ73件のうち、2時間以内に解決できたのは46件(63%)
症状(定性)
「速いほうだと思う」までは全員が一致するが、どのくらい速いのかは人によって基準が違う。速さを体感でしか語れていなかった。
段階
顕在化した課題
放置すると
良くなったのか悪くなったのかを判定できない。何か手を打っても効いたかどうかが分からず、お客様が不満を溜めていても離れる直前まで気づけない。

改善しようと思うときには、必ず何かの感覚が先にあります。手戻りが多い、なぜかいつも時間が足りない、あの人しか分からない。はっきりした問題というより、もやもやとした違和感です。

厄介なのは、その違和感の正体を数えにいかなくても、仕事は回ってしまうことです。忙しければなおさらで、現状を測る時間があるなら目の前の納品を進めたくなる。私たちにもその気持ちはよく分かります。

ただ、それは蓋をする行為だと思っています。しかも、蓋をしたくなる本当の理由は忙しさではなく、見たら分かってしまうからではないか。測れば、できていないことが数字で確定します。確定しなければ「たぶんできている」のままでいられる

私たちのレスポンスが、まさにその状態でした。「速いほうだと思う」までは全員が一致します。ただ、どのくらい速いのかを聞くと、答えは人によって違いました。同じ会社で同じ仕事をしていても、基準が揃っていない。

揃っていないと、何も判断できません。改善すべきなのかどうかも分からないし、仮に何か手を打っても、良くなったのか悪くなったのかが分かりません。お客様が不満を溜めていても、離れる直前まで気づけない。私たちが怖いと思ったのは、遅いことそのものより、こちらの状態でした。

蓋をしたくなるのは、忙しいからではなく、見たら分かってしまうから

HR.Aのアプローチ

どう考えて、動いたか

  1. 1

    対策を考える前に、まず測る

    「レスを速くする施策」から入らなかった。現状を正しく認識しないままに打つ手は、当たったかどうかも判定できない。まずは現状と向き合う

  2. 2

    誰がこの数字を受け持ち、追うのかを決めた

    測ると決めただけでは続かない。この数字に責任を持つ人を1人決めた。【誰が見るのか】を決めないとより現状に蓋をする方に進む

  3. 3

    何をもって「速い」とするかを定義した

    返信した時刻で測れば、私たちの数字はかなり良くなる。ほとんどの問い合わせに、すぐ何かを返しているからだ。ただ、お客様が欲しいのは返信ではなく答えだった。だから解決した時刻で測ることにした

  4. 4

    数えた結果:営業時間内の問い合わせ73件のうち、2時間以内に解決できたのは46件(63%)

    一定の期間に受けた問い合わせを対象にした。これが私たちの出発点になった。

  5. 5

    2時間を超えた27件について、1件ずつ内容を明らかにした

    割合を出して終わりにせず、中身を見にいった。ここが一番効いた。ひとまとめに「遅い」と呼んでいたものが、実は別物の集まりだと分かった。

数える前の私たちは、2時間を超えたものを全部「こちらが遅い」だと思っていました。中身を見ると違いました。

その大半は、私たちの速さでは決まらないものでした。役所・年金機構・ハローワークへの確認が必要な案件です。住民税の切り替え、育休給付金、社会保険料の差額、雇用保険の遡及。先方の回答を待つ以上、こちらがどれだけ速く動いても当日には終わりません。就業規則やIPO関連など、通常の給与業務の外側にある重い相談も同じでした。

気づけていない入口がありました。お客様ごとに使う連絡ツールが違い、中には通知が届かないものがあります。速く答える以前に、届いたことに気づくのが遅れていました。

問い合わせが1社に集中していました。全体の4割強が1社からです。全体の数字を動かしたいなら、そこの中身を変えるのが一番効く。数えるまで、この偏りにも気づいていませんでした。

どれも、測らなければ見えなかったものです。そして測る前に対策を打っていたら、たぶん見当違いのところを速くしようとしていました。

結果

何が、変わったか

まだ改善はしていません。私たちがやったのは現状を把握したところまでです。 現時点で手に入ったのは3つあります。 63%という出発点が分かりました。これから何をしても、効いたかどうかを判定できます。 「頑張れば速くできるもの」と「待つしかないもの」が分かれました。前者は工程を変える対象で、後者はいつ答えが出るかを先にお伝えする対象です。同じ「遅い」の中に、性質の違うものが混ざっていました。 通知が届かない入口があることも分かりました。ここは気合ではなく仕組みで塞ぎます。

HR.Aの視点

なぜ、このやり方なのか

私たちは「改善し続けること」を価値の中心に置いています。ただ、改善の上手さは施策の引き出しの多さではなく、現状どれだけ向かい、課題を見つけれるかで決まると思っています。現状を見ないまま打つ手は、当たっても外れても理由が分かりません。当たれば「効いた気がする」で終わり、外れれば「もっと頑張ろう」になる。どちらも次につながらない。今回、私たちは自分たちにとって都合の悪い測り方を選び、出てきた数字をそのまま置きました。気持ちのいい作業ではありません。それでも、ここに向き合わない会社が、お客様の業務改善を預かるのは違うと思っています。