改善の起点が、人にしかなかった — そこを自動化する挑戦
改善にこだわってきた弊社ですが改善は思うようには進みません。同じ人がオペレーションと改善の両方を担うかぎり、優先されるのは必ずオペレーションだからです。そしてその優先順位は、正しい。お客様の納期が先に来るのは当たり前です。だから改善が進まないという問題は、意識を高めても根強く残り続けます。私たちが見直したのは、改善の中身ではなく起点でした。改善は誰かが気づくところからしか始まらない。その起点が100%人に依存している。ここを自動化できないか、といういま進行中の挑戦の話です。
課題
何が、起きていたか
- 誰の課題か
- HR.A
- どの業務か
- 全ての改善業務
- 症状(定性)
- オペレーションをしている間は改善が進まない。そして人はほぼ常にオペレーションをしている。もっと良いやり方が頭に浮かんでいても後回しになり、最悪そのまま忘れる。AIの進化が速く、新機能を自分たちの仕事に合わせて試す実験も追いつかない。
- 段階
- 顕在化した課題
- 放置すると
- 改善の起点が人だけにあるかぎり、その人が忙しい月の改善はゼロになる。しかも止まったことに誰も気づかない。改善は、やらなかった記録が残らないため。
私たちは自分たちの強みを「改善し続けること」だと言ってきました。実際そうしてきたつもりです。
ただ振り返ると、その改善はいつも同じ形をしていました。誰かが「これはおかしい」と気づき、時間を作って手をつけ、形になるまで走り切る。全部、人の起点に依存しています。そして起点になれる人は、たいてい一番忙しい人です。
ここが厄介なのは、誰も間違っていないことです。お客様から費用を頂いている納品業務と改善を並べたら、納品が先に決まっています。
そして、さらにHR.Aでは改善とオペレーションの部門を分けずに1部門でやる、もうちょっと言うと1人のスタッフがオペレーションも改善もやることを大切にしています。
それは運用現場を知る人間が実施する改善が一番課題の解像度が高く、速く、出せるインパクトも大きいと考えているからです。
それは正しい判断で、だから毎月そうなります。意識の問題として扱うかぎり、この構造は変わりません。
もうひとつ効いていたのが新しいテクノロジー(最近はAIが多い)のキャッチアップ速度でした。最近はAIの影響で使っているサービスの機能は毎月変わります。「あれを使えばもっと良くできる」と分かっていても、自分たちの仕事に合わせて試す時間が後回しになる。知っているのにできていない状態が積み上がっていきます。
「オペレーションと改善を同じ人が担うかぎり、優先されるのは常にオペレーションだ。そしてそれは、正しい。」
HR.Aのアプローチ
どう考えて、動いたか
- 1
起点そのものを人から外し、AIを使ったループエンジニアリングで自動化
改善のやり方を教えても、時間を確保しても、起点が人にあるかぎり忙しさに負ける。「気づく」「調べる」「案を出す」までを自動で走らせ、人は判断だけをする形を試している。
- 2
必ず「どのKPIを改善するためのループか」から考える
ここを飛ばすと、動いてはいるが効果を判定できないものが増える。定量で判断できない改善は成果が安定しない。
- 3
人が入る場所(ゲート)を先に決める
全自動にはしていない。提案を採るか採らないかは人が決め、承認して初めて実行に移る。
- 4
効かなかったものは捨てる
社内チャットを巡回して課題を抽出させる試みは、元の情報量が足りず有益な出力が出ないと判断して途中で止めた。作ったものを維持しようとしない、と決めている。
- 5
「頻度」を設計対象として扱う
毎日フィードバックを出す設定にしたところ、昨日と今日で内容がほとんど変わらないことが分かった。AIと仕事をすると、最後に詰まるのは人間の認知。どの間隔で人を入れるかが、そのまま質を決める。
- 6
AIに判断材料を渡すまでは機能しない
最初の提案はぼんやりしていた。KPIの資料と、各メンバーの役割を定義した資料を読ませたところ、内容が一気に変わった。
結果
何が、変わったか
1回のループで出た改善提案(初回)
改善1件あたりの関与の重さ(体感値・計測値ではない)
まだ大きな成果は出ていません。始めたばかりで、うまくいかずに止めたものもあります。現時点で言えるのは、朝起きると分析が終わっていて提案が並んでいる状態になり、改善が「時間を作ってやること」ではなくなりつつあること。ただし、これが数字の改善として表れるかどうかは、これから検証する段階です。
HR.Aの視点
なぜ、このやり方なのか
改善し続けることを、私たちは価値の中心に置いています。ただ「し続ける」を人の意志に預けるかぎり、いつか必ず止まる。だから起点のほうを変えにいっています。うまくいくかはまだ分かりません。それでも、こういう実験を先に自分たちでやってから、お客様に持っていく会社でありたいと思っています。同時に気にしていることもあります。仕組みが賢くなるほど、なぜそうなっているのかを人間が説明できなくなる。それはAIを使いこなしている状態とは違う。次に手をつけるのは、改善された中身を人が学べる形にすることです。